表面的な言動の裏にある「背景」を理解し合う

「自分が言ったことは責任を持ってやり遂げるべき」
固定観念が相互理解を阻んでいた

リーダーとしてチームをまとめる立場では特に『わかりました』『やります』と口に出して言ったことが果たされない場面にずっとイライラしていました。都度指導や助言をするのもうんざり。言動に責任を持たないメンバーに『なぜ、やると言ったのにやらないの?意味がわからない』とぶつけることも多々あったように思います。

その「意味がわからない」を突き詰めて考える機会を与えられ、初めて自分の中に【できるできないではなく、言ったことには責任を持って行動するべき】という価値観があることに気づきました。言ったことをやらない場面に遭遇するとイライラするのは「自分の」概念。相手と自分は違うと知ったことが非常に大きかったと感じます。

「なぜ、言ったことをやらないのか」本当の理由を知りたいと思うようになったのはそれからです。よくよくメンバーに尋ねてみれば「やり方がわからなかったけど聞けなかった」「そのことよりもこちらの方が優先だと思っていた」など【やらない理由】があったとわかった時、イライラではなく『じゃあ、どうすればできるようになるかを一緒に考えよう』と感情や思考の向きが変わったのを覚えています。

またメンバーをよく観察する習慣ができ「ココは自然にできているのだよな」と見えたものを相手に投げかけると、メンバーの表情がパッと明るくなり、本人が気づいていない(自覚していない)強みに気づかせることもできることを知りました。

あなたの強みはここ、苦手分野はここ、と建設的なフィードバックを繰り返すうちに、メンバーにとっての「このチームで仕事をする意味や目的、役割」などを見せてあげられるようになったと感じます。結果、メンバーがやりたいと思っていることを叶えるために助け合い、チームとして支え合える環境になっていきました。

感情やモチベーションに振り回されないための
「チームとしての軸」

相手の表面的な言葉や行動だけを見て相手をジャッジし勝手にイライラしていたと気づき、その裏側にある考えや相手が大事にしていること、伝えたいと思っていることなどを理解するよう心がけるようになったおかげで、尊敬できるポイントや尊重したい考えなどにも触れ「受け止めてあげられる」信頼関係ができていきます。相手の大事にしていることを受け止めるからこそ、こちらのことも理解してくれるようになるのです。

信頼関係が作られたことで、リーダーとして自分が成し遂げたい思いやチームのコンセプトなどをメンバーに伝え、理解してもらえるようになっていきました。強みを活かし合い、弱みを補い合いながら、ビジョンの実現に向けて全員で動いている実感を持てたのは、メンバーの言動によってコロコロ変わる感情やモチベーションに振り回されていた頃には考えられなかったと振り返ります。

今では自信を持って「ひとつの場所を目指して一丸となっているチーム」と言い切ることができる。それも「まずはリーダーである自分が相手を理解しよう」と心がけるようになった小さな気づきがきっかけです。

お互いを真に理解し合うために、表面的な言動に囚われるのではなく、その背景にあるものに目を向け、耳を傾ける。すると尊重・尊敬の関係が生まれ、自分のことも理解してもらえるようになる。長く大変な道のりではありましたが、結果的にそれが「自分がこうして欲しいと思うことを理解し、行動してもらう」ための近道です。

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